アトピー性皮膚炎のスキンケア方法

アトピー性皮膚炎乳児湿疹で一番気をつけたいのがスキンケアです。正しくスキンケアを行うことで、アトピー性皮膚炎の症状が出ないように、そしてなるべく副作用が心配なステロイドを使わずに、快適に過ごすことができます。アトピー肌の特徴を知り、適切なスキンケアを行いましょう。

1. アトピー肌の特徴

アトピー肌の特徴
アトピー性皮膚炎の肌は下記の特徴があります。
乾燥肌
●かゆみを感じやすい
●バリア機能が低い
●感染しやすい

健康な肌に比べて、刺激を受けやすくかゆみを感じやすいので、毎日のスキンケアが大切です。

 

2. アトピー肌のスキンケア

アトピー肌のスキンケア
アトピーのある赤ちゃんや子供のスキンケアは、「清潔に保つこと」と「保湿すること」が最大のポイントです。

清潔に保つ

●汗や汚れはすぐに拭き取り、汚れをそのままにしないアトピー性皮膚炎の肌は、セラミドが不足しているため、皮膚のバリア機能が低く汗やホコリ、汚れなど、普通なら何でもないものが刺激になり、細菌による感染も起こしやすいのが特徴です。赤ちゃんは新陳代謝が激しく汗をよくかきますので、こまめに拭いたり、外出から帰った後はシャワーで流すようにすると良いでしょう。

●口のまわりや手はこまめに拭き、おむつもこまめに取り替えましょう
ミルクや離乳食が口のまわりに残っているとかぶれやぶつぶつの原因になり、かゆみを引き起こすことがあります。ぬれタオルやガーゼでやさしく拭き取ります。また、おしっこやうんちを長く放置するとかぶれの原因になります。こまめに取り替えておしりを清潔に保ちましょう。下痢の場合は、おしりをシャワーで洗い流すようにしましょう。

●やさしく刺激の少ない洗い方で
アトピー性皮膚炎の肌は乾燥肌で皮脂が少ないため、石鹸で何回も洗ったり強くこすって洗うなどすると皮脂を落ちてしまい逆効果です。清潔にするのは重要ですが、皮脂を落としすぎず、刺激の少ない洗い方をします。
アトピー性皮膚炎の子供のための刺激の少ない洗い方:
・お湯の温度はぬるめ(40℃以上だと皮脂が落ちやすく、かゆみを感じやすい)
・石鹸を使って洗うのは1日1回で低刺激のものを使う
・石鹸は直接肌につけず、泡立てた泡で洗う
・タオルなどは使わず、お母さんやお父さんの手でやさしく洗う
・汗やホコリなどの汚れは、できるだけシャワーを使って洗い流す
※薬用石鹸は消毒用のため医師からの指導がない限りは使用しない
※脂漏性湿疹がひどいときは、石鹸ではなかなか落ちないためシャンプーを使う。
※シャンプーを使うときは、先に髪を洗い、よく洗い流す。シャンプーが背中や首に残っていると刺激なることがあるため。

保湿する

●アトピー性皮膚炎の肌は水分が少なく、水分を保持する力も低いため乾燥し、かゆみを感じやすいのが特徴です。保湿剤で皮膚の水分を保持し、乾燥からくるかゆみを防ぎます。できるだけ刺激がなく、潤いが持続するものを選びましょう。

●刺激が少なく保湿力の高いものを選ぶ
ちょっとした成分がかゆみの原因になりますので、低刺激のものを選びます。子供によって刺激になる成分が異なるため、体の一部に塗り様子を見て、かゆみが出ないことを確認してから体全体に使いましょう。

●体に伸ばしやすく感触の良いものを使う
体全体に使うことが多いため、全体に均一に塗りやすいローションタイプを使うと良いでしょう。

●保湿する前には、皮膚を清潔にし、皮膚が乾ききる前に塗る
保湿剤を塗る際には、シャワーをして汗や汚れを洗い流します。また、お母さんの手も石鹸で洗いきれいな手で伸ばすようにしましょう。シャワーが難しい場合はぬれたタオルなどで軽く拭くようにしましょう。お風呂上りは、石鹸で皮脂を落としているため肌は急速に乾燥します。タオルで体を拭いたらすぐに保湿剤を塗ります。

●炎症を起こしているところにはクリームタイプを重ね塗りする
炎症を起こしている部分には保湿ローションだけではカバー力が足りません。クリームタイプの保湿剤を重ねてつけるようにしましょう。できれは沈静成分が配合されているものを選ぶと良いでしょう。※オイルの使用は慎重に。通常の肌であれば、皮膚表面に皮膜をはってバリア機能を果たしますが、アトピー性皮膚炎の肌の場合は、セラミド不足のため肌にしみこんでしまい、かゆみの原因となることがあります。

 

3. 季節に合わせたスキンケア

カレンダー
ジメジメとして暑い夏と寒くて乾燥しやすい冬。季節によって肌状態も大きく変わるので、季節に合わせたスキンケアを行いましょう。

夏のスキンケア

夏は汗を沢山かき、皮膚への刺激が多くなります。また虫さされや、プールの消毒液、直射日光などで肌の状態が悪化することがあります。汗はこまめに拭き取り、帽子をかぶるなど直射日光をできるだけ避け、刺激が少ないように注意します。

●シャワーや行水で汗を洗い流す(石鹸は使わない)
●虫刺され対策をする(長袖・長ズボン、虫除けスプレーなど)
●虫にさされたらかゆみ止めをつける(かゆみによる掻き壊し防止のため)
●海水浴やプールのあとは、シャワーや行水で洗い流す。
紫外線対策をする(帽子をかぶる/日焼け止めクリームを塗る)

冬のスキンケア

冬は空気が乾燥するため肌の乾燥もひどくなります。また、衣類の刺激でかゆみを感じることも多くなるため、こまめに肌を保湿し、乾燥しすぎないように室温調整に気をつけ、刺激の少ない衣類を選ぶようにします。

●保湿剤をこまめに塗り肌の乾燥を防ぐ(外出前後、入浴後、手を洗った後など)
●刺激の少ない衣類を選ぶ。肌に触れる部分はコットンにするなど
●部屋の温湿度に気をつける(室温や湿度を高くし過ぎない、換気をする)
●風呂の温度を高くし過ぎない(40℃未満のお風呂でゆっくりあたたまる)
●外出する時は、保湿クリームを塗る(顔や耳など外気にあたる部分に塗る)
●入浴剤の使用(保湿のため)

 

4. 掻き壊し対策

首を掻く子供
アトピー性皮膚炎の悪循環の一番の原因は掻き壊しです。そして掻き壊してしまうのは「かゆみ」のためです。かゆみを減らす工夫をするとともに、掻き壊さないように手を使った遊びをしたり、かゆみから注意をそらすようにします。

●手や指を使うおもちゃで遊ぶ(積み木やパズルボックスなど)
●水遊び(水を使うことで冷やされかゆみを忘れる)※大人の監督が必要
●手遊びをする(いとまきのうたなど)
●抱っこ(関心がお母さんに向かう)
●体を使った遊びをする(肩車や飛行機など)

 
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