アトピー性皮膚炎の治療方法

アトピー性皮膚炎の治療の基本は、「スキンケア」と「塗り薬」、「アレルゲンの除去」です。塗り薬はステロイド剤の処方が一般的ですが、ステロイド剤は炎症を抑える働きが強いため2~3日塗れば、炎症やかゆみなどの症状はかなり改善されます。一番避けたいのは、かゆみによる掻き壊しで症状を悪化させることですので、医師の指導を守り、ステロイド剤を正しく使用し、できるだけ早期に症状を沈静化するようにしましょう。また、アトピー性皮膚炎の肌は非常に乾燥しておりかゆみを感じやすいのが特徴です。お風呂上りでもすぐに水分が失われてしまうため、保湿を重視したスキンケアて乾燥を防ぎかゆみが出るのを防ぎましょう。ステロイド剤の使用中も、保湿スキンケアをしっかりと行い、炎症が沈静化した後、できるだけスキンケアのみで過ごすことができるようになることを目指します。

スキンケア方法

アトピー性皮膚炎のスキンケアの基本は清潔に保つことと保湿です。アトピー性皮膚炎の肌は、乾燥肌でバリア機能が弱くかゆみを感じやすいのが特徴です。これはセラミドという物質が不足しがちなためで、通常はセラミドが角質細胞と角質細胞の隙間を埋めて外界からの刺激から守っていますが、これがないために、汗や汚れなどの刺激を感じやすくなり細菌などの感染も起こしやすくなっています。そのためアトピー性皮膚炎のスキンケアではまず、皮膚表面の汚れや汗などをできるだけ早く洗い流すことと、乾燥を防ぐために保湿剤を使ってしっとりさせることがポイントとなります。

保湿に関しては、1日2回が最も効果的といわれています。副作用がなく塗る量や回数についても制限がありませんので、必要な場所にはこまめに 塗って潤いを保ちましょう。また保湿剤を選ぶ際は、肌への刺激が少ないもののうち、水分と保湿成分を含んだ乳液タイプのローションやクリーム など感触の良いものを選んで長く塗り続けられるように始めましょう。季節や乾燥ぐあいを見ながら油分の多いものを重ね塗りするなど症状、季 節、目的に応じて使い分けましょう。

●保湿剤の正しい塗り方

①入浴などで保湿剤を塗るところを清潔にします(シャワーや水洗いなどができると良いですが、難しい場合は塗れタオルなどで軽くふき取るだけでも良いでしょう)

②石鹸で手を洗います(薬に細菌やカビなどを混入させないため)

③塗る分だけ手に取ります(小さな面積に塗るときは指の先にのせます)

※ステロイド外用薬の塗布の目安として、FTU(フィンガーチップユニット)という単位を使います。
大人の人差し指の一番先から第1関節に乗る量で、大人の手のひら2枚分くらいの面積を塗ることができます。
保湿剤の場合は、この1FTUの20~30%多めの量をたっぷり塗りましょう。

④指のはらで肌表面に薄く塗り伸ばします
※肌が乾燥してしまう前に、すばやく均一に保湿剤を塗りましょう。

●部位別の塗り方

顔、ほほ、口のまわり:汚れをふいてから塗ります。

耳:乾燥して切れると痛いため、こまめに何回も塗ります。

ひじ、ひざの内側:活発に動くようになると乾燥してカサカサするようになるため、こまめに塗ります

手、足:掻き壊しやすいため、こまめに洗い、洗った直後に保湿剤を塗ります。

スキンケアのポイント

●体に伸ばしやすく感触の良いものを使う

体全体に使うことが多いため、乾燥が主体の場合は均一に塗りやすいローションタイプを使うと良いでしょう。

●保湿する前には、皮膚を清潔にし、皮膚が乾ききる前に塗る

保湿剤を塗る際には、シャワーをして汗や汚れを洗い流します。また、お母さんの手も石鹸で洗いきれいな手で伸ばすようにしましょう。シャワーが難しい場合はぬれたタオルなどで軽く拭くようにしましょう。お風呂上りは、石鹸で皮脂を落としているため肌は急速に乾燥します。タオルで体を拭いたらすぐに保湿剤を塗ります。

●炎症を起こしているところは慎重に

炎症を起こしている部分には保湿ローションだけでは足りません。処方薬がある場合はそちらを優先し、刺激にならないようクリーム、軟膏タイプ の保湿剤をつけるようにしましょう。
※オイルの使用は慎重に。通常の肌であれば、皮膚表面に皮膜をはってバリア機能を果たしますが、アトピー性皮膚炎の肌の場合は、セラミド不足 のため肌にしみこんでしまい、かゆみの原因となることがあります。

 

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