「1患者1手洗い」と言われていますが、看護師は勤務中に何度も手洗いをして、アルコール消毒剤を手にすり込まなくてはいけません。さらにパウダー付きの手袋を装着しての処置や物品の消毒液など、様々な化学薬品に触れるため、勤務中は手荒れを引き起こす要因だらけです。
手荒れが退職の原因となることもあるほど、手荒れは看護師の職業病となっています。そこで、今回は多くの看護師が悩む手荒れの対策方法をまとめてみました。
1)手荒れを最小限に抑える手洗いを
手洗い自体を避けることはできませんが、少しでも刺激を軽減する形で手を洗いましょう。まず、水はお湯ではなく冷水かぬるま湯を使いましょう。皮脂は35℃前後で溶けるといわれており、お湯で洗うと手を保護するために必要な油分まで洗い流されてしまいます。
また、石けん液を手にとる際は、水で手を濡らしてからとりましょう。乾いた手に石けん液の原液をとると、刺激となってしまいます。すすぎ残しも手荒れの原因となるので、注意が必要です。特に手の間や指関節のしわは残りやすいので、丁寧に洗い流しましょう。
手を洗った後は、ペーパータオルで擦って拭くのではなく、やさしく押さえて拭くようにします。ただし、水分が手に残っていると、水分が蒸発する際に皮膚の水分まで一緒に飛んでしまうので、拭き残しがないように気を付けましょう。
2)手袋着用時の工夫
勤務中に使用する手袋のパウダーに反応して、アレルギーを起こしているケースも多くあります。その場合は、粉のついていないパウダーフリータイプの手袋を導入してもらえるよう掛け合ってみましょう。一人で訴えても難しそうであれば、手荒れの看護師数人で掛け合ってみましょう。
また、手袋の中が蒸れることが原因で、手荒れが悪化している可能性もあります。湿気を吸収するため、ゴム手袋の下に、綿の手袋や、傷やひび割れのある箇所にフィンガープロテクターをつけることもおすすめします。
おすすめの綿性の手袋は「純綿100% コットン手袋」です。フィット感があり、アマゾンのベストセラーにもなっています。
フィンガープロテクターは「DealMux」のものがおすすめです。本来は指先に被せるものですが、指先をはさみで切れば、傷ができやすい指関節をカバーすることができます。
3)寝るときにも手袋を
睡眠時には、ハンドクリームや皮膚科で処方されたステロイドや軟膏を付けてから、手袋をして寝ましょう。ハンドクリームや薬が浸透し、寝ている間に無意識的に掻きむしるのを防ぐことができます。上記でもご紹介したような、肌に優しい綿性や絹製などの自然素材で作られた手袋をおすすめします。
4)家での水仕事をなるべく避ける
台所用洗剤を使って食器を洗うと、どうしても手荒れを引き起こしたり、悪化させてしまいます。なるべく食洗機を使ったり、もっていなければゴム手袋をして洗いましょう。台所用の合成洗剤は、洗浄力が強いので、極力手で直接触れないように注意しましょう。
5)質の良い睡眠を
夜勤がある場合は難しいですが、なるべく肌のゴールデンタイムと言われる22時~2時は、眠るように心がけましょう。この時間帯は成長ホルモンが多く分泌され、肌の新陳代謝が活発になります。そのため、この時間にしっかり睡眠をとることで、手の治りが早まります。
また、質の良い睡眠もとることも成長ホルモンの分泌には重要です。深い眠りに必要な成分「メラトニン」を生成するため、朝起きた後はカーテンを開けて、5分程度でも良いので太陽の光を浴びましょう。
なお、ブルーライトはせっかく生成されたメラトニンを分解してしまいます。そのため、寝る1時間前はPCやスマホ操作を避けましょう。また光そのものも、メラトニンを分解する性質があるため、関節証明などを使って部屋の照明を少し落とすと眠りの質は良くなります。
6)体の中から回復
手も皮膚なので、肌や傷を修復する栄養素を積極的に取るようにしましょう。皮膚の修復する成分と食べ物をご紹介します。
●亜鉛(傷の修復、コラーゲンの合成、活性酸素の無毒化)
牡蠣、あさり、豚レバー、ビーフジャーキー、ごまなど
※レモンに多く含まれるクエン酸やビタミンCと一緒に摂取すると、吸収率が上がります。
●ビタミンA(皮膚や粘膜の健康維持、免疫力の向上、活性酸素の抑制)
レバー、海藻、しそ、にんじん、ほうれん草など
※油に溶けやすい脂溶性ビタミンなので、油で炒めたり、油分の多いごまやナッツと食べると吸収率が上がります。
●ビタミンB群(皮膚や粘膜の再生、血行促進、炎症防止)
鳥・豚・牛レバー、うなぎ、いわし、かつお、ほうれん草など
※水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、水に長時間置いたり、加熱しすぎないように注意しましょう。
7)もちろん外からも保湿を
体の中からケアしたら、外もしっかりケアしましょう。
勤務中は、手洗い・消毒した後、しっかり乾かして細菌がない状態でハンドクリームを塗りましょう。勤務中でもベタつきや臭いがないハンドクリームも出ているので、自分に合ったものを使いましょう。
手洗い・消毒した後にさっと塗れるよう、ポケットなどに入れて携帯しておくと良いでしょう。手荒れがひどくなると、菌が繁殖して、感染症を発症するリスクが高まるので、こまめに塗って予防・改善しましょう。
8)保湿だけではなく、保水も
勤務中はこまめにハンドクリームで保湿し、自宅ではさらに丁寧にケアしましょう。
実はハンドクリームやオイルなどの保湿剤で保湿するだけでは、皮膚の表面を油分でしっとりさせるだけで、皮膚の奥は乾燥したままになっています。そのため、クリームを塗る前に顔と同じように手にも化粧水をつけて、乾いた皮膚の奥をたっぷり「保水」することが大切です。
化粧水には、皮膚の修復・保護作用がある薬用ハーブカレンデュラ入りの「メルシーケア」がおすすめです。もともとはアトピー持ちの赤ちゃん用化粧水ですが、看護師と同様に手を酷使する美容師の間で「手荒れが治る」と話題です。
まとめ
自分や患者さんへの感染リスクが高まり、繰り返す手洗いと消毒で辛い看護師の手荒れ。ご紹介した対策がご自身に合い、手荒れが改善されること祈っています。
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