乳児湿疹の原因とケア方法

多くの赤ちゃんが一度はおこしてしまう乳児湿疹。生まれたばかりの頃はつるつるのお肌でも、急に湿疹出始めることがあります。乳児湿疹には様々な種類があり、それぞれの種類によって原因やケア方法が変わってきます。少しでも早く湿疹がよくなるように、症状に合ったケア方法を押さえておきましょう。

1. 乳児湿疹とは

乳児湿疹は、赤ちゃんの頃にできる湿疹の総称です。赤ちゃんは皮膚がまだ弱くて未発達なので、多くの子が一度は乳児湿疹を経験します。特に生後6ヶ月ほどまでは、湿疹の原因を特定することが難しいため、まとめて「乳児湿疹」と呼んで、とりあえずの診断名として使われることも多いです。

 

2. 乳児湿疹の種類

乳児湿疹の種類や湿疹が現れる部位・年齢は様々です。生後2~3ヶ月頃から口のまわり・頬・頭にできることが多く、成長するにしたがって、手足や体に広がっていくことも特徴です。最初の頃は小さなブツブツでも、次第にくっついて大きくなり、炎症してジュクジュクしてくることがあります。また、乳児の頃は湿疹がひどい場合でも、1歳を過ぎると治まるケースも多くあります。

 

3. 乳児湿疹の原因とケア方法

乳児湿疹は種類によって原因やケア方法が異なるので、それぞれの症状に合わせたポイントをご紹介します。

乳児脂漏性湿疹


●症状
黄色いかさぶた状の湿疹、クリーム色のフケのようなかさかさしたもの、赤い湿疹ができます。赤くじくじく膿んだり、固まってかさぶたになったりすることもあります。かゆみは軽度で、頭やまゆ毛などの毛が生えているところ、おでこや頬などの顔、耳のまわりなど首より上に現れることが特徴です。生後2週間~3ヶ月頃に多く見られます。

●原因
生まれた時に母親からもらったホルモンの影響で、皮脂がたくさん分泌されることが一番の原因です。また、生まれて間もない乳児は、皮脂腺が未発達のため、分泌された皮脂に対応しきれず、毛穴がつまって、にきびができてしまいます。

●ケア方法
軽度であれば家でケアできます。また、ホルモンが主な原因なので、成長するとともに自然に治ります。皮脂の分泌そのものを抑えるのは難しいので、皮脂をきれいに落として、清潔に保ちましょう。
頭皮や眉毛にかさぶたがある場合は、お風呂に入る前にベビーオイルを塗って10分ほどおくと、ふやけて取れやすくなります。柔らかくなったら、ベビー用シャンプーでやさしく洗って、かさぶたを取りましょう。無理にはがして傷つくと、細菌が侵入して炎症が起きてしまうので、無理にはがさないよう、ご注意ください。
顔に湿疹が見られる場合は、特に眉毛や耳のまわりに洗い残しやすすぎ残しのないように心がけることが大切です。
また、かゆみが強い時や、かさぶたが分厚くなってきた時、赤く炎症している時は、小児科か皮膚科に行って診断してもらいましょう。

 

新生児にきび


●症状
頬やおでこの真ん中にブツブツとした、にきびができます。にきびの種類は赤いブツブツしたもの、白い芯があるもの、膿をもった白いものがあります。生後2週間~3ヶ月頃に多く見られます。

●原因
乳児脂漏性湿疹と同様、ホルモンによる皮脂の多量分泌と、それに未発達な皮脂腺が対応できずに、毛穴がつまることが主な原因です。
また、環境も原因の一つです。寝ている時間が多く、肌がお布団に触れている時間は長い赤ちゃんは、肌に直接触れている布団やシーツが汚れていると、汚れに反応してにきびができることもあります。

●ケア方法
ホルモンが影響しているため、成長すれば自然と治ってくることが多いですが、早く治すためにもしっかりケアしましょう。基本的には、大人と同じようにできたにきびを清潔にすることが一番のケアです。
お風呂に入れる際は、赤ちゃん用石鹸でしっかり泡を立て、泡でやさしくくるくるとなでて、皮脂をしっかり洗い落しましょう。お風呂から上がった後は、乾燥による皮脂の過剰分泌や他の肌トラブルを予防するため、ベビーローションで保湿することも忘れずに。
また、肌に触れている布の汚れが原因の場合もあるので、布団や洋服をこまめに洗濯して清潔にしておきましょう。

 

乾燥性湿疹


●症状
乾燥により、粉をふいたり、ひび割れたり、赤く炎症します。また、かゆみもあるので、ひっかいたり、ふとんに肌をこすろうとします。外気に露出している手足や面積の多いお腹や背中に現れやすくなります。また、生後3ヶ月以降の赤ちゃんに発症しやすい皮膚トラブルです。

●原因
その名の通り、乾燥が原因で湿疹ができます。生後3ヶ月以降になると、皮脂の分泌が低下するため、肌が乾燥しやすくなります。この乾燥で肌のバリア機能が低下すると、外部刺激によってかゆみが生じたり炎症が起きたりします。

●ケア方法
肌の乾燥を防ぐことが一番の対策です。
軽度であれば、丁寧に保湿してあげることで治まってきます。ベビーローションやベビーミルクをお風呂上りや外出前、食事の前後にこまめに塗りましょう。
また、爪でひっかいて炎症を起こさないためにも爪は切っておきましょう。冬場は、乾燥しないように加湿器を使って湿度を保ってあげることも、効果的です。
なお、炎症がある場合は小児科か皮膚科に行きましょう。ひどい時はステロイドを処方される場合もあります。

 

あせも(汗疹)


●症状
ピンク~赤色の小さなかゆみのある湿疹ができます。現れる部位は、頭やおでこ、首、わきの下などの汗が溜まりやすいです。乳児から大人まで年齢を問わず、汗をかく季節に現れやすい皮膚トラブルです。

●原因
汗をたくさんかくことで、汗腺が詰まって、汗が出る機能が妨げられて、皮膚内に汗がたまって水疱となった皮膚病です。赤ちゃんの汗腺の数は大人と変わらないため、同じ面積あたりの汗腺の密度が高いため、大人よりも発症しやすくなります。また、かゆみがあるため、我慢できずにひっかく・こすることがあります。

●ケア方法
汗が原因で起きるので、患部を常に清潔に保つことが一番の対策です。汗を頻繁にかく場合は、濡らしたタオルなどで、汗をこまめに拭きとりましょう。
かゆみがあるので、引っ掻いたり、こすったりしますが、患部を刺激することで、症状が悪化します。ひどくなると、病院に行って、ステロイドを処方されるケースも多いです。
かゆみを和らげ、外出先でも使える市販の携帯型スプレーも出ているので、活用すると良いでしょう。

    

また、あせもがある時は、ベビーパウダーは使用しないように注意しましょう。汗を吸着する機能があるので、肌トラブルがない時の予防にはなりますが、あせもがある時は汗腺を塞いでしまうため、悪化させてしまう原因になります。

 

4. 皮膚科に行くべきか

どの程度の症状であれば、皮膚科に行くべきか迷う方も多いと思います。炎症がひどい場合や、きちんと清潔にして保湿ケアをしているのに改善されない場合は、皮膚科医の先生に診てもらうことをおすすめします。
また、処方されたステロイドを赤ちゃんに塗るのは心配という方も多いと思いますが、本当に症状がひどい時は炎症を鎮めるために必要な場合もあります。

 

5. ステロイドを塗るのが心配なら、市販の保湿剤を

ステロイドは長期間使い続けるものではありません。ステロイドは炎症を強力に抑えるかわりに、皮膚細胞の増殖まで抑える作用があります。ステロイドを使わずに済むよう、また今使っている人は長期間使わずに済むよう、子供に合った保湿剤を見つけてケアしましょう。
現在はステロイドのような副作用はないものの、炎症やかゆみを鎮める市販の保湿剤も出ています。まだステロイドを処方されていない方や、これからステロイドの使用をやめたい方は、こうした副作用の心配がない市販の保湿剤を試してみると良いでしょう。

    

▼関連記事

口コミで人気の保湿剤6選
かゆい乾燥肌の原因とすぐできる対策方法
ステロイドの副作用と塗り方